振り向けば、キス。
桜も、もう何体目になるか分からない悪鬼を消滅させたようだ。


「そんなこと分かっとるっちゅーねん!理屈で全部まかり通ってみぃ!今頃ドラえもんが闊歩しとるわ!」


「―――自分、かなりやけっぱちやな」


楓は、ここ数日でたまりに溜まった鬱憤を発散するかのように、悪鬼をばかすか消滅させ、桜の言葉尻を捕まえて、ぎゃんぎゃんと噛み付いていた。


―――もう知らん!なるように、なるやろ。ちゅーか、俺がなんとかしたるわこのやろう。


わざと、シリアスな気持ちを胸のそこに封じ込めて、ぷっつり切れて開き直って見せようと、楓は努力した。

本当に、開き直ることが出来たら、良かったのだけれど。
今の自分には、難しいようだった。

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