振り向けば、キス。
第三章 終末の幕開け

①東の空に募る思い


***

「………どういう、ことだよ」


祖父の自室に呼ばれて聞かされた話に対して、波樹はなかなかリアクションを取ることが出来なった。

そうやってようやく出たのは、祖父に沸き起こった怒りなのか戸惑いなのか、良く分からない腹に溜まった熱さを吐き出すような声音だった。

しかし水上は、何事もなかったような顔をして自分の目の前に座っている。


「そろそろ、雨宮家の跡取りとして、お前に話をしていかなくてはならない頃合かと思ってな。
今回の件が、良いきっかけとなったと言うわけだよ」


氷沙が危険にさらされているというのに、全く動じていないような祖父の態度が波樹に憎悪を起こさせるような感情を抱かせる。
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