振り向けば、キス。

「僕は、ただただ楓様に魅せられて、恋い焦がれて、千年も生きてしもてる身やからねぇ」


朱雀の瞳は、過去を映していた。

「――さて、話戻してえぇかな?
僕には今までの月姫の記憶がある。それを君に見せたる。多分、見たら、君の魂が思いだすと思う。
その時、先読みの力だけを僕が封印したるよ」


それでえぇか?


朱雀の静かな声に、氷沙は唯首を縦に降った。


「――光に焼かれてまうから、目、閉じとりや」


朱雀と繋がっている額の熱さが増す。

閉じた瞼の下でも、大きな光源が発されたのが分かった。

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