振り向けば、キス。
「決まってるだろ。月の石を、守りにいくんだ。
今の俺が、楓と合流しても、楓の足手まといになるだけだろうから、行かないよ。だから、安心してたらいいよ」
だから、何も言わないでくれ。
祖父の方を見ることなく、波樹は早口に告げる。
この、状況で月の石が本当に壊滅させられたら、東から滅びてしまう。
自分は、守らなければいけない。
氷沙と、楓が笑顔で帰ってこられる場所を。
「俺、行くから」