振り向けば、キス。
「―――楓……」
目で追うのも苦労するほどの速さで、剣を交え、術を発動させている従兄弟の後姿から溢れているのは、神々しいまでの金色で。
普段の、楓が発動できる力の範疇を、簡単に越してしまっているのだ。
それでも、相手とは五分といったところか。
「楓!、」
何度目になるのか分からない、呼びかけの後、桜は楓の前に飛び出した。
今の自分の能力は、楓や、あの男よりも低い。
ここでわってはいることは、楓にとっても迷惑だ。
そう分かっていたのに、もう、無理だった。