振り向けば、キス。
「楓!」
喉から出たのは、自分のものとは思えないほど、かすれきった高い声。
目の前の光景に、一瞬氷沙の頭は真っ白になった。
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「あほ、気ぃ付け!」
「――っ悪い、桜」
飛ばされた楓の身体は、しっかりと桜に受け止められた。
防御はまにあわなったが、楓も身をひねることで被害は最小限に食い止めることが、何とかできた。
不思議なことに、身体の痛みをあまり感じなくなってきているから、もしかしたらその所為で大丈夫なだけかもしれないのだけれど。
しかし一応、自分を受け止めてくれた桜の表情を見る限りは、実際的にも大丈夫なようだった。
氷沙は、思うように体を動かせないのか、地上へ降りてくる様子はなかった。その死にそうに青くなっている顔へ、楓は確かな視線を送った。
自分なら、大丈夫だから。とそう心配性で、誰かを失うことをとても恐れている、大切な少女へ向けて。