振り向けば、キス。



「月姫か、嬉しいね。ただの人間であっても、その能力を身にまとえば、すごく愛おしく思えるよ」


黒をまとった男は、嬉しそうにそう呟いた。

楓は、反射的にその男を睨む。男は楽しそうな、邪悪そうな笑みを浮かべる。



「天野、思ったとおりの働きをしてくれた、礼だ。
せめて、楽にあの世に行けるようにしてやろう」


「……お前、」



先ほどまでとは桁違いの、オーラが男の体から沸き起こる。
本当に、今までのは自分をいたぶっていて、楽しんでいたのに過ぎなかったというのか。


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