振り向けば、キス。



「お前は、もういらないよ」



前触れもなく、地面が揺れた。


「楓っ……!」



足元が急に無くなった。重力のままに暗闇に堕ちそうになるところを、その場から飛んで避ける。

間髪いれず、着地地点が今度はひび割れを起こし始めた。


「楓、桜早ぅ、乗り」


「朱雀!」


赤の鳥の本来の姿に戻った、朱雀の羽が楓と桜の頭上すれすれに浮かぶ。
二人は、そこに飛び乗った。

朱雀は、ぐんと上昇した。

< 306 / 366 >

この作品をシェア

pagetop