振り向けば、キス。
「私は、お前には何も求めてはいないよ、天野。せいぜい、もがいてくれれば、それで構わない」
世界の中心、世界の果て。世界をこの黒に染めてみたかった。あるいは――。
目の前の少年がその手に剣を構えた。天野の象徴、力の源。彼からは強い光の力の匂いがした。
それはしかし不安定に少年を包み込んでいる。とてつもないほどの神々しさと思えば、次の瞬間には立ち消えていたりした。
けれどそれは、急速に力を強め、少年と剣に集中し始めている。
「――天神、か」
強すぎる力は、身を滅ぼすぞ。それは、自嘲にも似ていた。