振り向けば、キス。
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「やめて――――-!」
眼下で光った、強大な力のぶつかり合いに、氷沙は顔を覆った。視界から排除したとしても、互換すべてに突き刺さってくるような力の渦は、消せるはずも無く氷沙に緊迫した戦闘を伝えてくる。
自分を引き止めるように抱きとめる桜の腕が無ければ、間違いなく楓の下へ飛び降りた。
体が勝手に震えた。なんで、いったい。どうなるの。
世界が無事だったとしても、あの男が倒れたとしても、この窮地を切り抜けられたとしても。
自分の横から楓がいなくなってしまうと言うのなら、それは世界の終わりと一緒だ。
「離して、あたしは楓の傍に行くの!」