振り向けば、キス。

　しかし、この噂にはもうひとつ話が残っている。


「……ところで、天野先輩は今日はここに居ないの？」

「お、おう！楓か、楓な！まだ学校から帰ってきてねぇんだよ。たぶんもうすぐ帰ってくると思うけど。な！氷沙」

「うん！もうすぐ帰ってくるよ！この話に乗り気じゃないわけじゃないからね!安心してね!｣

　必要以上にあわてて取り繕う双子に、高原は不安そうな目を向ける。

　そう。この心霊現象を解決するというバイト。ただの古びた神社の子ども二人がやっている、というわけではないのだ。

　そこには背後にもう一人の人物がいる。

　その人のネームバリューによって、その噂は効力を増し、金を取られてでもお願いしたいものが多いといっても過言ではない。