振り向けば、キス。
「―――まぁ、何事にも、間違いはある。そういうことだ。

さて、話が戻るが、その月の欠片が近頃穢されている。これは大変なことだよ。

さ、楓。だから頼みがあるんだ。

月の石を穢している者の目的は、一概には言い切れんが、強い力を求めていることは確かだ。その証拠に氷沙も狙われたのだろう?

これを解決してほしい」


「じーさん、なんでもう氷沙が狙われたってことしってんねん」


「――老人は、耳が早いものだよ、楓。ではいいな、頼んだぞ。月姫が関わってきたら、これは天野への契約内容に該当しているだろう?」


「……狙いは、そこだけか?」


自分たち、天野の力を契約内容の範囲内で借りたいがためだけに、氷沙に害が及ぶ直前まで待っていたのだろうが。

それだけではない気もして、いやだ。
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