振り向けば、キス。
とにかく。この時した嫌な感じは、これから回りだす、擦れ始めた歯車を示唆していたのかもしれなかった。


――何事もなく、年が明けたらえぇのに。

柄にもなくそんなことを考えてしまった自分に、楓は苦笑する。


それは、願うことではない。

自分の能力で叶えるものだ。


――大丈夫。俺が、絶対になんとかしたる。


天野と言う特殊な家系に生まれてしまったことを、悔いたことはない。

その力は、今の為にあるのだから。

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