振り向けば、キス。
時々、思うことが楓にはあった。

いつまでここにいることが、可能なのだろう。

この雨宮にいつまでなら、紛れていられるのだろう。


天野に戻る度に、一つ年上の頭の良い従兄弟は、自分が氷沙の話をすると、何か言いたそうなそぶりを見せる。


それが、どんな意味を成すのか、解らなければ良かった。


もしそうであったなら。
自分のこの手で氷沙を幸せにすることが、できたかもしれないのに。



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