振り向けば、キス。

氷沙が、制服の大群の中に埋もれていた。


「……なっちゃ……ん…」


聞こえてきた氷沙のか細い声に。気がつけば波樹は、クラスメイトを殴りつけていた。

殴っても殴っても、まるでゾンビか何かのように、立ち上がってきて、なかなか中心の氷沙のところまでたどり着けない。



「氷沙!」


――くそっ、楓はこんなときに何してんだよ!

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