振り向けば、キス。
せいぜい2、3人しか祓えない自分の力じゃ、退魔法を使っている間に隙をつかれる!

波樹は、氷沙を目指して、何か巨大な力に操られているだけに過ぎないクラスメイトを伸していく。

だが、それは唯のいたちごっこに終わりそうだった。


終わりが見えない。
氷沙にたどり着けない!


「――やだ!なっちゃん、なっちゃん!怖い!」


氷沙の悲鳴にも、すぐに応えてやれない自分が悔しかった。


――早く来いよ!楓のバカヤロ―
八つ当たりのようであり、楓にすがるしかないんだと言っているようでもあった。
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