振り向けば、キス。
あれだけ助けを求めておいて今更だとは思うが、それでも波樹を自分のせいで危機に晒せない。もうこれ以上。


「なっちゃん!」

「――今動いたらっ、氷沙を守れなくなる…!」


波樹の顔にも苦痛の色が見え始めた。

――そうだ。昨日の怪我だって、治ってないのに!


何もできない自分が嫌だ。
守られていることに甘んじている自分なんか大嫌いだ。

だって大切な人をいつも傷つかせるのは、いつだってあたしだ。


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