私を愛憎の檻から連れ出してくれたのはこの地区を束ねる暴走族の総長様でした
いつもどおり、お母さんが満足する答えを返す。



「そう、そうかしら?でもそうよね、私何も悪いことしてないもの!」



うちの両親はある意味、気が合うんじゃないかと思う。

だって2人とも『愛莉はどう思う?』って、飽きもせず毎日毎日言ってるんだから。




「そうだよ。…ご馳走さま、今日も美味しかったよ。」




「学校、行ってらっしゃい。」



「うん。行ってきます」




いつの間にか付いてしまった静かに扉を閉める癖はわたしなりの両親へのささやかな反応なのかもしれないな、なんて。

学校指定のスカート丈をしっかり守った制服を着てスクールバックを肩に引っ掛けながら思う。



(1限目なんだったかな?)


いつもの通学路を歩いてたら急にドンッという衝撃とともに声をかけられた



「おはよ、愛莉」
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