私を愛憎の檻から連れ出してくれたのはこの地区を束ねる暴走族の総長様でした
それを止めようとしたお母さんがヒステリックに叫んでさらに喧嘩が酷くなって。

昨日はお父さんがお姉ちゃんを殴って終わったんだと思う。


まあ、もうこのことを覚えている必要はない。と、今日やる数学の範囲をしながら思う。


ーーーーーーどうせ、今日も同じことが起きるんだから






ぴったし1時間後。お父さんが起きてきた音が聞こえた。




「…おはよう」


「あぁ、お父さん。おはようございます」



感情なんてこもってなさそうな形ばかりの二人の挨拶。

いつもこんな感じだけど喧嘩した後だからふたりとも声が暗い。


こういう時はわたしが行かないかぎり暗い空気が変わらないからわたしが行くしかない。分かってても、何回しても慣れない。この時ばかりは
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