桜ヶ丘学園、生徒会執行部へようこそ!〜生徒会メンバーから、なぜか溺愛されちゃってます!〜




ジワジワと追い詰めるように近づいてくる袴田先輩の、綺麗なうす茶色の瞳には、私が映っている。

そのくらい先輩との距離が近くなって、私の顔は自分でも分かるくらいに熱を持った。

きっと頬は真っ赤になっているに違いない。



袴田先輩に対するドキドキ感と恐怖心が、半分ずつ入り混じって、なんだかおかしくなってしまいそう!

「(あぁ、どうしよう……っ!)」


体育館の壁と袴田先輩に挟まれてしまっていて、逃げることすらできないこの状況。

袴田先輩はそんな私を見て、クッとイジワルな笑みを浮かべた。



「ふっ。なに顔赤くしてんの?」

「ちょっと暑いだけです!」

「まだ六月になったばかりだけど?」


「……っ」

「おもしろいね、杏子」


な、名前呼び……!?私、今、あの袴田先輩に名前を呼ばれちゃった!?

急に下の名前で呼ばれて、また心臓がドキッと大きな音を奏でた。


これ以上、顔を赤くしたくはないのに!

一人悶々とする私とは正反対に、袴田先輩は涼しい顔をしてまた『ふっ』と笑った。



「あの、私、さっき見たことは誰にも言いません!」

「……へぇ」

「は、袴田先輩のこと、絶対に誰にも言わないから……っ、その代わり、マンガ研究部の廃部をナシにしてください!」



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