桜ヶ丘学園、生徒会執行部へようこそ!〜生徒会メンバーから、なぜか溺愛されちゃってます!〜
誰かに読んでもらえて、的確なアドバイスと課題を教えてくれたことは嬉しかった。
それから私は、マンガに描けるような『恋のネタ』を毎日探し続けている。
生徒手帳と同じサイズのミニノートを買って、【恋のネタ帳】を持ち歩くようにもなった。
「(でも……、恋のネタ帳は今も真っ白なまま)」
だから、今の私には絵の練習に加えて、恋のネタを探すという超重要なミッションまであるんだ。
今でもすっごく忙しいのに、生徒会の仕事までするようになったらパンクしちゃうよ!
「へぇ、まだ断るんだ。でもマンガ研究部はいいの?このままだと廃部だけど」
「うっ。そ、それは……」
廃部になるまで、あと一ヶ月。
マンガ研究部を失くしたくなはい。絶対にイヤだ。
だけど、だからって生徒会に入らなくちゃいけないのはおかしいと思う。
「な、なんとかしてみせます」
「なんとかならないから、わざわざ俺に頼みに来たんじゃないの?」
「……っ」
マンガ研究部が廃部を免れるための条件は、あと一人部員を増やすこと。
どうにか、あと一人だけ入ってくれる人を探さなくちゃいけない。
ここはもう、田辺くんと二人で全力で頑張るしかない!
「と、とにかく!生徒会には入りませんから!」
「……じゃあ、俺の命令に背くってことだね」
「だって、先輩のウラの顔を見たから、だなんて理由、納得できないです!」
私は袴田先輩の前に堂々と立って、そう言い放った。
「ま、いっか。どうせ杏子は生徒会に入らなくちゃいけなくなるんだから」
「なっ!絶対の絶対に、生徒会には入りません!」
強情な袴田先輩に負けず、私もグッと力を込めて先輩の顔を見上げる。
いくらこの学園の生徒会長をしているからって、全部思い通りになると思ったら大間違いだ!
「(とにかく明日から全力で部員募集しなくちゃ!)」
私は力強くそう言って、何度も自分に言い聞かせた。
大丈夫、きっとなんとかなるって。
絶対に袴田先輩の言いなりになんてならないんだから!