桜ヶ丘学園、生徒会執行部へようこそ!〜生徒会メンバーから、なぜか溺愛されちゃってます!〜
【第2話:生徒会長、袴田先輩の裏の顔】



***


「おかしいなぁ、どこにもいない」

マンガ研究部の部室を出て、四階の一番角にある生徒会室へ向かった。

恐る恐る扉をノックしてみたけれど、誰も出てくる様子はなくて、私は今、一人で校舎を歩き回っている。



「そういえば、生徒会はいつも忙しいんだって、美加ちゃんと鈴菜ちゃんが言ってたな」

あたりをキョロキョロしながら、生徒会長や副会長を探してはいるけれど、全然見つけられないまま。




生徒会長の袴田先輩のことは、生徒会の事情に詳しくない私でも知っている。

入学式のとき、生徒代表の挨拶として壇上に上がってきたのが袴田 壱架(はかまだ いちか)先輩だった。



袴田先輩の姿を見た途端、新一年生の女子生徒たちは一気にザワザワとしはじめた。

頬を赤く染める人、口元を押さえて喜ぶ人。『恰好いい……』と声を漏らす人もいた。

袴田先輩と同じ中学に通いたくて、この桜ヶ丘学園に入学してきた生徒もたくさんいるのだとか。



「(私だって、はじめて袴田先輩を見たときはドキドキしちゃったもん)」

そのくらい、袴田先輩は格好いい人だった。

まるで、少女マンガの中から出てきたヒーローみたいな人。




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