【改定版】豚小屋

【第10話】

しゅうさくは、両親・よしえと夫・ゆういちろう(45歳・工場勤務)夫婦がナマクラだからあやみ夫婦に預けられた子であった…

しゅうさくがあやみ夫婦の家に来たことが原因で、あやみは夫と義弟から暴力をふるわれるようになった…

これで、家族たちが仲良く暮らしていくことがほぼ不可能になったようだ。

その一方で、しゅうさくの両親は苦しい立場に置かれていたようだ。

しゅうさくの父親・ゆういちろうは、豊田市にある自動車部品の総合メーカーの製造工場の主任だが、お給料は激安であった。

不足分を補うために、よしえがパートに出て稼いでいるけど、こちらも給料は激安であった。

しゅうさくがあやみ夫婦のもとに来たのは、生後3ヶ月頃だった。

よしえはあやみに対して『保育園の空きが見つかるまで預かってほしい…お礼はきちんとします。』と言うた。

あやみは、よしえが言うた言葉を信じてしゅうさくを預けた。

しかし、よしえ・ゆういちろう夫婦はしゅうさくを迎えに来なかった。

ホンネは、よしえ夫婦はしゅうさくが大キライだからあやみ夫婦のもとに棄《す》てた…

そう思ったあやみは、乳児院へ入れることを考えた。

だが、それではよくないと思ったのであやみはしゅうさくを育てた。

あやみのお人よしな性格が原因で、夫や義弟の反感を買った。

あやみは、よしえ夫婦にあうたびに大ゲンカを起した。

『いつになったらしゅうさくを迎えに来るのよ!!』
『義弟がイライラしているのよ!!』

…とあやみが言うと、よしえ夫婦はものすごくつらい声で言い返した。

『もうすぐ暮らしが安定するから、あと少しだけ待って…』
『しんどい…』
『めんどくさい…』

…といいかげんな受け答えをした。

思い切りブチ切れたあやみは、よしえ夫婦に対して暴力をふるった。

これにより、しゅうさくと両親の関係が悪化した。

さらにその上に、よしえ夫婦はより深刻な問題を抱えていた。

とくに深刻な問題は、カネのであった。

よしえは、大型病院の調理場のパートで働いていた。

この時、勝手に仕事を休んでいるパートさんひとりのせいで労使間の対立が発生した。

理由もなくトツゼン休みますと言う手前勝手な従業員《ポンコツ》のせいで、深刻な人手不足におちいった。

よしえたちが不足分をおぎなうために働いたが、パートさんたちの間で非常に強い不満がくすぶっていたので気持ちよく働くことができなかった。

理由もなくトツゼン休みますというポンコツ女は、なにを考えているのよ…

面接官《クソジジイ》は、人を見る目がないからダメよ…

ドサイテーね…

よしえたちは、従業員《ポンコツ》ひとりの悪口を口々に言いまくった。

事件の翌朝であった。

ところ変わって、小坂本町にあるあやみ重朝夫婦の家にて…

この日、よしえはあやみに対してよしえに代わってしゅうさくを育ててほしいとたのみに来た。

しかし、話し合いの席でもめ事が発生した。

あやみと義母がよしえのいる前で怒鳴りあいの大ゲンカを起こした。

あやみが発した言葉にブチ切れた義母は、ドカドカと足音を立てながら居間から出た。

キーッとブチ切れたあやみは、よしえに殴りかかった。

「ふざけるな!!ぶっ殺してやる!!」
「あやみやめて〜」
「あんたのせいよ!!あんたが全部悪いのよ!!」
「うちらは苦しいのよ…」
「あんたは最初から育児をする資格はないのよ!!」
「アタシはしゅうさくの母親よ…」
「やかましい!!ナマケモノ!!ネグレクト!!ぶっ殺してやる!!」

あやみは、電話機でよしえの頭を激しく殴りつけた。

端にいたしゅうさくがワーワーワーワー泣いた。

殴られぱなしのよしえは、反撃することができなかった。

あやみは、ワーワーと泣いているしゅうさくに対して怒った声で言うた。

「よく見ておきなさい!!あんたの母親は、あんたを棄《す》てたのよ!!あんたを産んだから親になれたと言うてマンシンしているのよ!!あんたの母親のサイゴを見ておきなさい!!」

あやみがよしえに対してどぎつい暴力をふるったことが原因で、姉妹《きょうだい》が不仲になった。

同時に、しゅうさくとよしえの母子関係もハタンの危機にひんした。

あやみ自身も、心身ともにヒヘイしたのでどうすることもできなかった。
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