【改定版】豚小屋

【第29話】

それから2日後であった。

直家が大キライになったりつよは、午前中に裁判所へ行った。

叔父《おじ》が残した借金は、破産申請をして終わらせた。

同日の午後、りつよは直家を連れて犬山市にある老健施設へ見学に行った。

同時に、直家の入所手続きをした。

その後、りつよは直家を置いて枇杷島《びわじま》へ帰った。

あとになって、直家に認知症のうたがいが出たことが明らかになった。

施設に入所させられた直家は、もうダメだと思ってあきらめた。

その翌日から、母娘3人の暮らしが始まったがジゴクの日々がつづいた。

りつよは、一生懸命になってパートをがんばっているのに、お給料が1円も上がらない…

なおみは、大学に行きたいと強く思うようになったので仕事がおろそかになった。

そうしたイライラが家庭内に蔓延《まんえん》した。

これにより、さおりの心の傷はより大きく広まった。

さおりの気持ちは、家族たちから離れたようだ。

そんな中で、竹宮が再び過激な行動に出た。

10月24日の夜おそくであった。

場所は、昭和区内にあるセルビデオ店にて…

事件は、ノレンの奥のコーナーで発生した。

この時、モンキー顔の若い男がビニール袋に包まれている品物を見てコーフンしていた。

その現場を竹宮が目撃した。

竹宮は、モンキー顔の若い男に詰めよった。

「コラワレ!!」
「なんだよオッサン!!」
「いま手にしたものを出せ!!」
「やめろよ!!」
「出せといよんのがわからんのか!!」

竹宮は、モンキー顔の若い男から例の品物を取り上げた。

その後、強引にビニール袋を開けた。

(ドサドサドサドサドサドサドサドサ!!)

ビニール袋の中から、大量の衣類があふれ出た。

ドロでぐちゃぐちゃに汚れた上に、鋭利な刃物でズタズタに切り裂かれたキャミソールなどの下着類がたくさん入っていた。

その上に、レイプの被害を受けたあとの写真とメッセージカードが封入されていた。

それを見て怒り狂った竹宮は、店員さんを呼んだ。

「ああ…何かお探しでしょうか?」
「コラワレ!!オドレの店のオーナーを呼んベ!!」
「あの~、どちら様でしょうか?」
「オレは興信所のおつかいで来たものだ!!」
「興信所がどうかしたのですか?」
「オドレクソガキ!!ぶっ殺してやる!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」

竹宮は、ハラマキの中から拳銃《トカレフ》を取り出したあと銃口を店員に向けてイカクしながら言うた。

「例の品物は、レイプの被害を受けた女性が着けていた下着だ!!オドレらの店にレイプ魔とつながりがある人物がいると聞いたからここへ来た!!」
「やめろ!!」
「おい、店のオーナーをよべ!!」
「オーナーは今、外出中です…」
「死ねや!!」

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

怒り狂った竹宮は、店にいた店員たちを数人を銃殺した。

このあと、竹宮は店の奥の倉庫へ行った。

竹宮は、例の品物と同じタイプの品物が山のように置かれていたのを見たのでドカーンとブチ切れた。

この時、店のオーナーが帰って来た。

竹宮は、オーナーに対して銃口を向けておどした。

店のオーナーは、例の物を持ち込んだ男は有松で暮らしている問屋のわかだんな・忠家であることを竹宮に言うた。

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

竹宮は、店のオーナーを銃殺したあとその場から立ち去った。

その翌日の昼前であった。

またところ変わって、大高城跡公園《しろあとこうえん》にて…

忠家は、芸妓《げいこ》はんたちと一緒にお茶屋遊びに夢中になっていた。

この時、竹宮が忠家のもとにやって来た。

「お愉《たの》しみ中すんまへんけど…」
「なんでしょうか?」
「死ねや!!」

(ガチャ…ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)

竹宮は、ハラマキから拳銃《トカレフ》を取り出したあと忠家に向けて発砲した。

周りにいた芸妓《げいこ》はんたちが悲鳴をあげた。

竹宮は、その場から走って逃げた。

あとになって忠家が昭和区にあるビデオ店に行ったことは分かったが、問題の衣服を持ち込んだこととさおりがレイプされたことについては無関係であったことが分かった。

恐ろしい悲劇は、まだ終わっていなかった。
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