【改定版】豚小屋

【第5話】

その日の夜7時過ぎであった。

あずさは、グラタンからおとなりさんの家のお残りのチャーハンに変更した。

中華鍋で残り物を暖めなおした上に中華あじをパラパラとふりかけて、おさらに盛りつけた。

家の食卓にて…

テーブルには、あずさとひであきとほのかとひろつぐの母親がいた。

ひであきとほのかは、コンダテが変更されたことが気に入らないので『食べたくない!!』と言うてひねくれた。

あずさは、けだるい表情を浮かべていた。

ひであきは、よりしれつな怒りをこめながらあずさに投げつけた。

その後、食卓から出ていった。

ひろつぐの母親は、気だるそうな表情を浮かべているあずさに対して怒った。

「あずささん!!」
「はっ、はい…」
「あんた、この頃生活態度が悪いみたいね!!」
「えっ?」
「えっ?じゃないでしょ!!その上に、この最近ひでのりの残業がつづいていると聞いたけど、それは本当なの!?」
「おばさま!!アタシは一生懸命になって努力しているのよ!!」
「いいわけばかり言わないでちょうだい!!それと、ふさえとふさこのふたりは成績が堕《お》ちているわよ!!」
「おばさま!!どうしてふさえとふさこまで攻撃するのですか!?」
「攻撃したくなるわよ!!ふさえはほんとうに3回生なの!?」
「ですからそれはどう言うことですか!?」
「ふさえが大学に行ったのは入学式とその翌日の2日だけで、3日目から今までのあいだ1日も行ってないわよ!!」
「そんなことはありません!!ふさえは『大学は楽しいな〜』『お友だちがたくさんいる…』『毎日が発見の日々よ…』と言うてますよ!!」
「ウソばかり言わないでよ!!根尾《ねお》さんカタの奥さまから話しを聞いたわよ!!この最近、ふさえがボーソー族の男たちと一緒にチャラチャラしているのを近所の奥さまが見たと言うてたわよ!!その上に、過激な服装を着るようになった!!どぎついメイクをつけるようになった!!その上に、男が運転するバイクに乗ってわけのわからない言葉を叫んでいた!!それはどう言うことかしら!?」
「おばさま!!ふさえになんの落ち度があると言うのよ!?」
「ドロボーはだまりなさい!!ひろつぐの学資保険と家の貯金をドロボーして、ふさえとふさこの学費に使ったから落ち度があるのよ!!」
「おばさまはアタシたち家族に出てゆけと言いたいのですか!?」
「ええ、その通りよ!!」

端で聞いてたほのかが、激しい声で泣きさけんだ。

ひろつぐの母親は、やさしい声でほのかを声をかけた。

「ほのか…ごめんね…ごめんね…ごめんね…」

思い切りブチ切れたあずさは、ひろつぐの母親に小皿を投げつけた。

小皿は、ひろつぐの母親の左肩にぶつかった。

あずさは、怒った声でひろつぐの母親に言うた。

「おばさま!!ほのかにふれないでよ!!」
「あずささん…」
「そんなに孫がほしいのであれば、東京で暮らしている長女《むすめ》さん夫婦に頼みなさいよ!!オニババァ!!」

思い切りブチ切れたあずさは、ひろつぐの母親を突き飛ばした。

その後、ほのかを連れて部屋へ逃げ込んだ。

あずさに突き飛ばされたひろつぐの母親は、ひどく気落ちした。

7月7日のことであった。

ふさこが通っている高校は、1学期の期末試験が終わった頃であった。

ふさえたち2年生は、8月に行く修学旅行のプランニングを立てていた。

修学旅行の行き先は、シンガポールと済州島と函館の3ヶ所である。

今のふさこは、修学旅行の準備するどころではなかった。

この時点で、ふさこは出席日数が大幅に不足していたのでリューネンする可能性が出た。

それどころか、ふさこは高校に行くこと自体が苦痛であった。

たまに学校に来ても、品物を取りに来るだけであった。

その上にまた、クラスのコたちをさけるようになった。

ふさこ自身の心が大きく壊れたようだ。

この日、ふさこは残っている品物を全部取り出したあと、すぐに帰った。

ところ変わって、ひでのりが勤務している千種区役所《やくしょ》にて…

ひでのりは、この最近表情をしかめるようになった。

毎晩のように、新入りの職員さんたちの晩ごはんのお世話で帰宅時間が遅くなっていたことを家族に言えずに困っていた。

この日も、課長から新入りさん6人の晩ごはんのお世話をしてくれとたのまれた。

「ひでのりさん…ちょっとかまん?」
「課長、また『新入りさんたちの晩ごはんのお世話をお願いします…』ですか…」

課長は、困った表情でひでのりに言うた。

「ひでのりさんにもうしわけないと思っているよ…だけど新入りさんたち6人は悪気があってひでのりさんのサイフをあてにしているのじゃないのだよ。」
「それはどういう意味ですか!?」
「ひでのりさんの怒る気持ちはよくわかるよ…だけで新入りさんたち6人は、右も左も分からずに困っているのだよぉ~」
「課長!!いいかげんにしてください!!」
「新入りさんたち6人は、小さいときから『男子チュウボウに入るべからず』と親御さんから言われて育ったのだよ〜」
「ふざけるな!!ぶっ殺すぞ!!」
「ひでのりさん…新入りさんたち6人を許してください〜…負担かけた分は新入りさんたち6人のお給料が上がった時にお礼をするようにと言うたから…この通りたのむ…」

課長は、おたついた表情でひでのりにコンガンした。

ひでのりは、なげやりな表情で了承した。

課長は『今夜もお願いします。』と言うて席へ戻った。

その日の夜であった。

ところ変わって、栄にあるひつまぶしがおいしいと評判の居酒屋にて…

居酒屋の奥座敷のテーブルの上には、オードブルのセット料理とキリンラガービールの瓶100本とキリンレモンの瓶100本が並んでいた。

席には、新入りさんたち6人と課長がいた。

ひでのりは会計中であった。

新入りさんたち6人は、ものすごく言いにくい表情で口々に言うた。

「なあ…」
「なんや…」
「オレたち…やりづれーよ…」
「ああ…そうだよな…」
「いくら多川さんが全額出してくれるというけど、このままではダメになるよ…」
「そうだな…」

新入りさんたち6人が口々に言うてる中で、課長が泣きそうな声で言うた。

「おーいみんな…」
「(あつかましい声で)課長!!」
「みんなうれしい顔をしてくれよう…」
「ふざけるなよ課長《クソジジイ》!!」
「なにが『ダンシチューボーはいるべからず!!』だ!!」
「その言葉の意味を辞書ひいて調べて意味を発表しろよ課長《ゲス》!!」
「決めつけ魔!!」
「くそったれ!!」
「カツアゲ魔!!」

新入りさんたち6人は、口々に課長をなじりまくった。

課長は、困った表情で言うた。

「待ってくれよぅ〜」
「課長!!ひとのサイフをあてにすることをやめてください!!」
「わかっているよぉ…」
「あんたは多川とどう言う関係があるのだ!?」
「説明しろよユスリ魔!!」
「わかった…あやまる…だけど君たちが同じ職場で長続きできるようにと思って、多川さんに無理を承知でお願いしたのだよ…」
「ふざけるなよチンピラヤロー!!」
「ぶっ殺すぞ!!」
「分かった…君たちが恩返ししたいのであれば、君たちがまじめに働いているところを多川さんにアピールすればいいだけじゃないか…とにかく、楽しくお酒をのんでくれ…わかっているのだったら返事しろ若造《クソガキ》ども!!」

思い切りブチ切れた課長は、新入りさんたちを押さえつけたあと席から離れた。

このあと、彼らはお酒をのんで楽しいひとときを過ごした。

そんな中で、恐ろしい悲劇が発生した。

(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!カンカンカンカンカン!!ギャー!!ギャー!!ギャー!!)

日付が変わって7月8日の深夜1時過ぎであった。

場所は、春岡通りにある住宅密集地にて…

住宅密集地にあるマンスリーアパートの部屋から火が出た。

キンリンの住民のみなさまが大パニックを起こして逃げ回った。

火元のマンスリーアパートは、新入りの職員さんたち6人が暮らしていたアパートであった。

火は瞬く間に地区に拡散した。

そんな中であった。

新入りの職員さんたち6人は、ひでのりが全額出してくれると思ってチョーシにのった。

だから、アルコール類を大量に注文した。

新入りの職員さんたち6人は、ラストオーダーの時間をきれいに忘れていた。

時は、深夜3時過ぎであった。

この時、ラストオーダーから20分が過ぎていた。

6人は、メイテイ状態であった。

この時であった。

竹宮がヤクザの男たち100人を連れて奥座敷にやって来た。

ヤクザの男のひとりが叫び声をあげた。

「アニキ!!こいつらです!!アニキの女《レコ》をレイプして殺した若造《クソガキ》どもです!!」
「やっぱりそうか…おい、たたき起こせ!!」
「へえ!!」
「おい若造《クソガキ》!!起きろ!!」
「なんだよ!!」
「よくもアニキの女《レコ》をレイプして殺したな!!」
「知らねーよ!!」
「ふざけるな!!」
「ぶっ殺してやる!!」

このあと、新入りさんたち6人はヤクザの男たちにボコボコに殴られたあと刃渡りのするどいナイフでズタズタに斬《き》られて殺された。

その後、新入りさんたち6人の遺体はかれらによって運ばれたあと行方不明になった。
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