異世界獣人の国で介護施設を始めます!
「レオ、私はあなたに感謝しているの。突然この世界にやって来た私を信じ、一緒に施設を立ち上げてくれて、ここでの生活を支援してくれて、守ってくれて……ホントに感謝しか無い。いつでも私の側にいて守ってくれて、頼りがいがあって、格好良くて、可愛いレオが私は大好きです」
素直な気持ちを伝えると、レオがこちらに顔を向けた。
「エン……」
目を見開いたレオが私の名を呼ぶ。
私の名を……。
「レオ……そう言えば、私……レオに言っていないことがあるんです」
「言っていないこととは何だ?」
「その……私の名前はエンではないんです」
「は?偽名だったと?」
「えっと……そうではなくて、エンは愛称というのかな?本当の名はゆかり……園田縁です」
「ソノダユカリ?」
「そうです。園田が家名で縁が名前です」
「ユカリ……ユカリ……ユカリ……」
レオは何度か私の名前を口にすると、頭に刻み込ませているようだった。
「俺の他に、ユカリの名を知っている者はいるのか?」
「え?元の世界にはいますが、この世界ではレオだけです」
「そうか、それなら他の者には絶対にその名を言ってはダメだ。分かったか?」
?
他人に本名を名乗ってはいけないと言うこと?
どうしてかしら?