異世界獣人の国で介護施設を始めます!
異世界生活
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エンは屋敷の外に出て二つの月を眺めていた。今日は長い一日だった。何とかこの屋敷を見つけ出し、第一世界人と出会い、その人に殺されかけ、先王様を助けた?と言うか、楽しくお話をしただけだが……でも、そのおかげで衣食住にありつけた。そして4日ぶりのお風呂に感動したよ。魔石を使って湯を沸かすお風呂に、ファンタジーだなと感動した。食事もこちらの世界の食べ物はどうなのかと思ったが、とても美味しかった。4日分を取り戻すかのようにお腹いっぱい頂いた。それを見ていた殿下は目を丸くしていたっけ。
そうそう、あの殿下と呼ばれていた人はレオンポルド・エンブリアというお名前で何と、この国エンブリア王国の第三王子様だったの。本物の王子様だったんだよ。しかもこの世界は獣人さんの世界で、人間は伝説の生き物らしい。こっちからしたら獣人さん達の方がレアで架空の生き物ですけどね。
そして、あの自分の事を魔王だと言っていたおじいちゃんは先王様で、この国の王様だった人でした。今はレオンポルド殿下のお父様が王の地位を継いで王様しているんだって。
それにしても、元国王だった先王様がどうしてこんな森の中で暮らしているのか……と言うことなのだが、どうやら認知症の症状が関係しているらしい。認知症の症状は人により様々だが、先王様のように別人になりきってしまうような症状もある。その為、この国では悪魔付きと呼ばれているらしい。そして悪魔付きとなった獣人は処刑されてしまうと言うことだった。そのため先王様は悪魔付きと言うことがバレないようにかくまわれているらしい。
なんと言うことでしょう。
認知症が悪魔付きで死刑執行の対象ですって!
死刑だなんてダメ絶対!