異世界獣人の国で介護施設を始めます!
そういうことで、私はレオンポルド殿下の『認知症の人を助けるたい』という思いに応え、協力をすることにしたんだ。認知症で苦しむ獣人さん達を助ける手伝いを私はする!
屋敷の庭に立って拳を握りしめながら二つの月に誓いを立てる。しかしここで心が沈んでしまう。この世界にやって来て、私は月を見ては家族を思っていた。
「お父さん、お母さん……会いたいよ。もう会えないのかな……」
瞳に涙の膜が張る。
この国の獣人さん達を助けてみせると、そう意気込みながらもへこんでいると、後ろから声をかけられた。
「今晩は、良い月夜ですね?」
ゆっくりと振り返るとそこには白く長い耳のおばあちゃんが立っていた。
ウサギの獣人さんかな?
「えっと……今晩は良い月夜ですね」
エンも同じ言葉を返してみる。
するとウサギの獣人さんはフワリと微笑んだ。
わーっ雰囲気のある獣人さんだな。何というか空気が柔らかい。
「大丈夫ですか?」
何故がウサギの獣人さんは心配をしてくれた。
「えっと……何がですか?」
「泣いていらしゃったのでは無いですか?何か悲しいことや辛いことでもありましたか?」