異世界獣人の国で介護施設を始めます!

 無表情で淡々と喋るティエナに、悪気がないのは分かっている。

 分かっているんだけど……。

「ティエナさーーん!!」

 思わず、ティエナの名を叫ぶと、かみ合わない言葉が返ってきた。

「エン様、敬語は無しで。わたくしのことは、ティエナとお呼び下さい」

「ちっがーーう!そうじゃなーーい!敬語とかは思わず発してしまっただけなの!それより、スポドリもどきを作っている間に、ポーションの話しは出来たでしょう。ポーションを飲ませた方が、ポノロさんの回復も早かったでしょうって言う……」

「ああ……ですが、木のじいさんはエン様のポーションで回復されましたよ」

「木のじいさんてっ……ティエナ、言い方!しかもスポドリもどきはポーションじゃないの!」

「いいえ、これはポーションですよ。エン様(じるし)で特許を取って販売いたしましょう」

「ええーー!そんなの無理でしょう。水と砂糖と塩だよ」

 こんなに簡単に出来るスポドリもどきを、ポーションとして売り出そうなんて、詐欺行為だ。しかしティエナはやる気満々な様子だ。表情が変わらないから分かりにくいが、興奮している気がする。

「ティエナさんや……とりあえず、ポーションとして売り出すのは止めておきましょうね」

「エン様、敬語は無しで、ティエナでお願いします」

 だからそこじゃないのよ、ティエナさん……。

 

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