異世界獣人の国で介護施設を始めます!
「ローラ様、お初にお目に掛かります。私はこの施設の責任者で、エンと申します。よろしくお願いします」
「わたくしはローラ・フレアと申します。お世話になりますわ」
とてもしっかりとした返事が返ってきた。何だか認知症とは思えない感じだけど……。
「ローラ様、今後はこちらの風呂で過ごして頂くことになりますが、どうですか?何か不都合などはありますか?」
「大丈夫よ。結構広くて快適ね」
これまた普通の返事が返ってくる。
認知症と言っても、軽い症状のようだ。
簡単に挨拶を交わし、エンがローラ様から離れて少し経った頃だった。
「「キャーー!」」
ララ、リリの悲鳴が風呂場に響き渡り、エンの耳まで届いた。
一体、何事?
エンは急いで風呂場へと向かう。するとそこにはずぶ濡れのララ、リリの姿と、グッタリとしたローラ様の姿があった。
「ララ、リリ何があったの?」
エンはローラ様を風呂から引きずり上げながら、二人に声をかけた。
「それが……ローラ様がお風呂で溺れてしまって」
「えぇ?人魚がお風呂で溺れるの?」
「「はい……」」
ああ……そう言うことか……。
泳ぎを忘れてしまった、元人魚姫……これは、溺れないように工夫が必要ね。顎に手を立ててどうしようかと考えていたとき、またしても悲鳴が聞こえてきた。
今度は何?!
「「キャーー!」」
これはルル、レレの悲鳴?
えっと、この悲鳴は外から?