異世界獣人の国で介護施設を始めます!
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「レオンポルド」
謁見が終わり私達が王城の廊下を歩いていると、殿下が名前を呼ばれたことに気づき振り返った。私も同じように後ろを振り返る。するとそこには、先ほど謁見の間にいた金髪碧眼の王子様が立っていた。王子はキラキラなオーラを纏、美しい笑顔を振りまいていた。
うわーー。
近くで見ると王子様感が半端ない。
キラキラが眩しい。
思わず、眩しさに顔を覆いたくなる。
そうそう、説明忘れてたけど、このキラキラ王子様は殿下のお兄さんでした。名前をイー二アス・エンブリア様と言うらしい。この国の王太子様。ついでに第二王子は隣国に留学に出ているらしい。帰ってくるのは二年後だと言っていた。
「イー二アス何のようだ?俺は忙しいのだが?」
殿下は心底嫌そうな顔をしながら、イー二アス殿下を見た。
「そんな顔をしないでくれ。血を分けた兄弟だろう。それに俺はそちらのお嬢さんに興味があって来たんだ」
イーニアス殿下の視線が殿下から私に移った。
「人間のお嬢さん。俺の元に来ないか?」
イーニアス殿下の言葉に驚き固まっていると、それを聞いた殿下が、眉間に皺を寄せ私を庇うように前に出た。
「ふざけるな!お前にエンはやらない!」
グルル……と牙を剥き、威嚇する殿下を見ても、イーニアス殿下は涼しい顔をしていた。
「レオンポルド、何故お前が答える。俺はエンに聞いているんだ。どうだエン、私の元に来い」
先ほどの『来ないか?』とは違い、今度は命令のような口調で言われ、どうしたらよいか分からなくなる。そんな私の肩を抱き寄せたレオンポルド殿下が、澄んだ青空色の瞳を向けて来た。
綺麗な色……その瞳を見ているだけで、心が落ち着いてくる。私はフーッと息を大きく吐き出すと、イーにアス殿下の前に立った。