天才冷徹ピアニストと譜めくりすと
「水上さん、俺のファンだよね?」

「……はい」

「じゃあ、今夜のコンサートで俺が醜態晒すの、嫌だよね?」

「ええ」

「よし、決まった!」

(え、なにが?)

「今夜は水上奏さんが譜めくりすと」

「ええ~!?」

そんな無茶な!!

「だって、音大だろ? 専攻はピアノ。楽譜めくるくらい、ちょろいちょろい」

 さっきの瑤子さんの手紙からすると、とてもそうは思えないのだが……でも一回きりだし、緊急事態だから、さすがに葉月諒のパワハラも影を潜めるだろうか。

「奏がやってくれたら、私たちも助かる! 今夜のコンサート、アルバム作るために公開録音なんだ」

 親友アイの頼みもあるとあっては、断れるはずがない。

「……わかった」

 私だって音大卒だ。集中してやれば、譜めくりくらい、きちんとこなせるはずだ。
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

シングルマザー・イン・NYC

総文字数/108,460

恋愛(その他)251ページ

表紙を見る
桜花一片に願いを

総文字数/4,862

恋愛(純愛)8ページ

表紙を見る
コップの中の漣(さざなみ)

総文字数/912

その他1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop