どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜

32話 悲喜こもごも

 ギュスターヴの精気をたっぷり与えられたおかげで、左頬はたちまち元通りになりました。
 左耳の聴力も無事復活です。
 もちろん、鼻血だって止まりましたよ。
 足下のジゼルは残念そうな顔をしないでください。
 せっかくですから、さっきと同じ構図で頬を寄せ合って自撮りをしておきましょう。

「はい、ギュスターヴ。笑ってください? かわいく」
「かわいく」

 今度は、ちゃんとギュスターヴも満足そうな顔で写りました。
 かわいく……はありませんが。
 とても上手に撮れたので、さっきの写真と並べて会員制交流場に投稿してみます。

 ──はい、ゴッドさん。早かった。

 相変わらず神速の反応ですね。
 それにしましても、またもやえげつない速さで拡散され、めちゃくちゃイイネもいただいております。
 ありがとうございます。
 引用が相変わらず、顔がいい、の嵐ですが、何かの合言葉でしょうか?
 タグを作っていただくのは結構ですが、〝まおアヴィ〟ではなく〝アヴィまお〟でお願いします。
 異論は認めません。
 とか何とか、楽しくやっていた時です。
 慌ただしい足音が聞こえてきたかと思いましたら、騎士の格好をした人物が廊下の角から飛び出してきました。
 私の兄──グラウ・ローゼオ侯爵です。
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