どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
6話 上手な門番の倒し方
「ここを通すわけには参りません。大人しくおうちにお戻りなさい」
ギュスターヴがメイドを介して与えてくれた摩訶不思議なカラクリは、携帯端末というそうです。
隻腕の屍剣士ヒヨコと二人で弄りまくって、操作の仕方はだいたい把握しました。
そうして、『魔界 脱出方法』で検索。
難無く巨大な黒塗りの門にたどり着けたわけですが、やはりというか、それを守護する門番が立ち塞がりました。
ボロボロの黒衣と大きな鎌を装備した、いかにも死神といった風体の骸骨です。
しかも、厳つい面構えの犬を十頭も連れているではありませんか。
丸腰の私だけでは、きっと難攻不落の門だったでしょう。
しかし、二本も剣を下げたヒヨコが一緒なので心強いです。
その背中に庇われながら、私は背の高い門番を見上げて言いました。
「おうちは門の向こうにあります。ここを通していただかねば戻れません」
「嘘をおっしゃい。あなた、今朝方生まれたばかりの魔王様の眷属でしょう? すでに魔界中のうわさになっていますよ。よからぬ輩にちょっかいをかけられたくなかったら、魔王様の庇護下で大人しく……」
「ガタガタうるさい骨ですこと。奥歯が噛み合ってないんじゃありません?」
「ひっ……きゅ、急に辛辣にならないで……」
死んでまで説教をされるのはごめんです。
私は門番の話を遮ると、再び携帯端末を起動しました。
「もういいです──力尽くで通りますので」
「えっ……」
絶句する門番を放置して、さくさく検索しますよ。