どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜

「勇者の修行というのは、短期間で免許皆伝を得られるようなものなのですか?」

 ヒヨコが勇者の許にいたのは、結局はたったの一月──三十日間でした。
 修行というと、普通は多くの年月をかけて取り組むものだと思うのですが。
 そう私が疑問を口にしますと、ギュスターヴが不敵な笑みを浮かべました。

「そいつが三十日で戻ってきたのには、明確な理由がある」
「その、理由とは?」

 クッキーの粉をノエルの服で拭って、ギュスターヴがヒヨコに人差し指を突きつけます。
 そうして、ドヤ顔をして言いました。


「こいつが行ったのは、勇者修行三十日間無料体験──そして私は、ちゃんと解約した」


 なるほどなるほど。

 おちがつきましたね。







『第四章 魔王の子と魔女の子』おわり
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