どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
「ハーピーは、魔女と仲が悪いのですか?」
「いや、あいつらは無二の親友だって聞いてる」
「ではなぜハーピーは、さっきのドラゴンさん達に武器を与え、魔女の子であるクリスに害が及ぶのを助長するようなまねを?」
「おそらく、うちの連中がカモにされただけだ。ハーピーは意地汚いからね。あの刺股、きっととんでもない値段で買わされたんだ」
クリスを守るための仕掛けは、木っ端微塵になる呪い一つだけではないだろう、とクラーラは踏んでいるようです。
私が一滴でも血を流すとギュスターヴがやってきてしまうみたいに、クリスに本当に危険が及んだ場合は魔女が駆けつけるのかもしれません。
その魔女をよく知るハーピーは、ドラゴン族達にクリスをどうこうできるとは、少しも思っていないのでしょう。
「ハーピーといい、魔女といい……どこまで、私達をこけにしたら気が済むんだろう」
忌々しそうに呟きつつも、クラーラは焼き鳥のタレでベタベタになったクリスの手を拭いてやりました。
その目に、腹違いの弟に対する憎悪は見当たりません。
ただ、どこか悲しそうで……
(気丈に振る舞っていますが、本当は父親の不貞に深く傷ついているのでしょう)
ズキリ、と痛覚を持たない私の胸まで痛んだ気がしました。
当事者であるクラーラの心痛はいかほどかと思うと、居ても立っても居られなくなります。
私は噴水の縁から立ち上がり、彼女に向き直って言いました。
「ひとまず──魔女に謝ってもらいましょう」
「……は?」
「あなたにはその権利がありますし、魔女にはそうする責任があります」
「いや、いきなり何を……」
クラーラは目を丸くしていますが、私は構わず彼女の片手を掴みます。
もう片方の手は、私を真似るみたいにクリスが掴みました。
「ちょ、ちょっと!? 待ってよ、あんた達……」
クラーラが慌てるのも構わず、その手を引いて駆け出そうとして……
「ところで、魔女の住まいはどちらですか?」
「おれ、わかんなーい」
私は魔女の家の場所を知らないし、クリスも迎えがないと帰れないことが判明します。
もちろん、ヒヨコだって知っているはずがありません。
となると、頼みの綱は……
「クラーラ、魔女の住まいをご存知ですか?」
「ねーね。おれのおうち、どこ?」
「はあ……何なのよ、この子達……」
クラーラはそれはもう、特大のため息を吐きます。
けれども最終的には、私とクリスの手を引いて歩き出すのでした。
「いや、あいつらは無二の親友だって聞いてる」
「ではなぜハーピーは、さっきのドラゴンさん達に武器を与え、魔女の子であるクリスに害が及ぶのを助長するようなまねを?」
「おそらく、うちの連中がカモにされただけだ。ハーピーは意地汚いからね。あの刺股、きっととんでもない値段で買わされたんだ」
クリスを守るための仕掛けは、木っ端微塵になる呪い一つだけではないだろう、とクラーラは踏んでいるようです。
私が一滴でも血を流すとギュスターヴがやってきてしまうみたいに、クリスに本当に危険が及んだ場合は魔女が駆けつけるのかもしれません。
その魔女をよく知るハーピーは、ドラゴン族達にクリスをどうこうできるとは、少しも思っていないのでしょう。
「ハーピーといい、魔女といい……どこまで、私達をこけにしたら気が済むんだろう」
忌々しそうに呟きつつも、クラーラは焼き鳥のタレでベタベタになったクリスの手を拭いてやりました。
その目に、腹違いの弟に対する憎悪は見当たりません。
ただ、どこか悲しそうで……
(気丈に振る舞っていますが、本当は父親の不貞に深く傷ついているのでしょう)
ズキリ、と痛覚を持たない私の胸まで痛んだ気がしました。
当事者であるクラーラの心痛はいかほどかと思うと、居ても立っても居られなくなります。
私は噴水の縁から立ち上がり、彼女に向き直って言いました。
「ひとまず──魔女に謝ってもらいましょう」
「……は?」
「あなたにはその権利がありますし、魔女にはそうする責任があります」
「いや、いきなり何を……」
クラーラは目を丸くしていますが、私は構わず彼女の片手を掴みます。
もう片方の手は、私を真似るみたいにクリスが掴みました。
「ちょ、ちょっと!? 待ってよ、あんた達……」
クラーラが慌てるのも構わず、その手を引いて駆け出そうとして……
「ところで、魔女の住まいはどちらですか?」
「おれ、わかんなーい」
私は魔女の家の場所を知らないし、クリスも迎えがないと帰れないことが判明します。
もちろん、ヒヨコだって知っているはずがありません。
となると、頼みの綱は……
「クラーラ、魔女の住まいをご存知ですか?」
「ねーね。おれのおうち、どこ?」
「はあ……何なのよ、この子達……」
クラーラはそれはもう、特大のため息を吐きます。
けれども最終的には、私とクリスの手を引いて歩き出すのでした。