どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
「「「「「おおおおううっ……!?」」」」」
何とも言えない声を上げ、揃いも揃ってその場に崩れ落ちる。
魔王とその側近が顔を見合わせた。
「そういえば、キロンから何か連絡がきていたな。まだ見ていないが」
「いや、せめて既読付けなさいよ。……あっ、ほら! 魔王様が見てあげないから、私の方にも送ってきてるじゃないですか!」
「だったら、貴様が読んでやれ」
「しょうがないですね。えーと、なになに……〝不貞男強制去勢システムの試運転開始。なお、アレを異世界に飛ばすのは忍びないため、爆破処分に変更する〟ですって。仕事はやっ!」
などと、呑気に言い交わしている前では、五体のドラゴン族達が股間を押さえて悶え続けている。
地獄絵図であった。
「と、いいますか……こちらの長老達。あれだけ女性を見下しておきながら、揃いも揃ってこの年で奥さんを孕ませた上、不貞まで働いてやがるんですか?」
「クズにもほどがあるな」
888くんは激怒した。
必ず、かの悪逆無道の輩をメッタメタのギッタギタにせねばならぬと決意した。
何より……
「これ以上、こいつらがアヴィスと同じ空気を吸うのは──我慢ならん」
「あーあ、最悪のヘイトを稼いでしまいましたねぇ。ご愁傷様ですー」
ノエルが羊執事の丸焼きを引きずって、ガチギレ魔王から離れた。
その魔王は魔女の屋敷の窓に顔を向け、可愛い可愛い我が子……ではなく、その隣に寄り添っていた屍剣士に目配せをする。
ヒヨコは瞬時にギュスターヴの意向を察し、アヴィスの両目を手で塞いだ。
アヴィスに献身的かつ盲目的に仕え、決して彼女に劣情を抱かない彼を、魔王は高く買っていた。