どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
 この日の夕暮れ時、一つ新しいスレが立った。
 タイトルは、『旦那の股間が爆発した』
 スレ主は、ワンオペシングルファーザー魔王を温かく迎え入れてくれた、あのボスママだ。
 なお、888くんは3ゲットしていた。

「結局、クラーラのお母様はママ友グループに入ったのですか?」
「入ったな。さっそく魔女に慰謝料の請求をしている」
「まあ、逞しくていらっしゃいますね。仲裁しなくていいのです?」
「必要ない。魔女は言い値で払うだろうからな」

 ふわわ、とアヴィスが大きくあくびをする。
 この日は結局一日中町を歩き回った上、さまざまなハプニングに巻き込まれて疲れているのだろう。
 ギュウスターヴはそんな彼女を、可愛くてたまらないと言いたげな顔をして見守っている。
 アヴィスは瞼を重そうにしながら、憂いを帯びた声で続けた。

「クラーラのお母様は、族長の妻の矜持から気丈に振る舞っていらっしゃるのでしょうね……でも、きっと傷ついていると思うのです……」
「そうだな」
「影で……一人で、泣いていらっしゃるかも、しれません……ははの、ように……」
「……アヴィス?」

 すとん、とアヴィスが眠りに落ちた。
 彼女が残した意味深な言葉を、ギュスターヴは頭の中で転がす。
 どうやら、ローゼオ侯爵家にも何やら問題があったようだが……

「どうでもいいか。アヴィスは、今はもう私の子だ」

 ギュスターヴはそう呟き、アヴィスの伏せられた瞼にそっと口付けを落とす。
 午後十時を回り、魔王も就寝の時刻となった。




< 245 / 249 >

この作品をシェア

pagetop