どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
「──どいつもこいつも」
それは、突然のことでした。
私の辞世の句を代弁する者が現れたのです。
私のものとは似ても似つかない、低く艶やかな男性の声でした。
「私の周りは愚か者だらけか。なぜ、誰も止めなかった」
声の主は苦々しい様子でそう続けます。
いつの間にかぼんやりと天井を見上げていた私は、はっと我に返りました。
大きく二度瞬きをしてから視線を正面に移せば、赤い瞳とかち合います。
その赤は、私が吐き出した血よりもまだ、もっとずっと、鮮やかな色をしていました。