どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
「──私の魂は、私のものです!!」
激しい怒りが、ついに口をついて私の中から飛び出します。
とたんに強い風が巻き起こり、私のものともギュスターヴのものとも分からぬ銀髪が煽られて宙を泳ぎました。
さらに、足下を照らしていた灯りも一気に吹き消され、残ったのは深い闇ばかり。
さっき私の髪やワンピースを汚したインクよりも、純粋で、濃厚で、傲慢な黒です。
しん、と耳が痛くなるほどの静寂がその場を支配しました。
けれども、それも一瞬のこと。
「──そうだ」
そう、ギュスターヴが呟いたとたん、足下の灯りがぱぱぱっと再び点灯したのです。
呆気に取られる私の頬を、彼の掌がゆったりと撫でます。
いつの間にか溢れていた涙も、それが優しく拭ってくれました。
さらには私の髪に口付けを落としながら、魔王は謳うように続けます。