どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
「お前の魂は、お前のものだ。そして、私のものでもある」
「……私は、私だけのものです」
「いいや、違うな。魔界に来た時点で、全ては私のものだ」
「……傲慢」
そんな抗言も、魔王は軽く笑って許容してしまいました。
私は早々に彼との議論を諦めます。
痛覚がないはずなのに胸の奥がチリチリと痛む気がするのは、きっと天使の理不尽に対する怒りの名残りがまだそこで燃えているからでしょう。
私は片手で胸を押さえて、目の前の毛皮の襟に顔を埋めました。
「いやっ……絶対、いやです! あの天使の思い通りになんてなりたくない……天界になんて、絶対行きたくない!」
「その点は安心しろ」
くぐもった声で言い募る私に、ギュスターヴが何でもないことのように返します。
髪を撫で、こめかみに口付け、それこそ我が子を慈しむみたいに私をあやしながら彼は続けました。
「私がお前を手放すことは、未来永劫ありえない。天使にも、神にも、手を出させはせん」
「ほんとう、ですか……?」
「〝アヴィスのお父さん〟の称号に誓って」
「呼ばないですってば」
頑固だな、という魔王の声は笑っていました。
「……私は、私だけのものです」
「いいや、違うな。魔界に来た時点で、全ては私のものだ」
「……傲慢」
そんな抗言も、魔王は軽く笑って許容してしまいました。
私は早々に彼との議論を諦めます。
痛覚がないはずなのに胸の奥がチリチリと痛む気がするのは、きっと天使の理不尽に対する怒りの名残りがまだそこで燃えているからでしょう。
私は片手で胸を押さえて、目の前の毛皮の襟に顔を埋めました。
「いやっ……絶対、いやです! あの天使の思い通りになんてなりたくない……天界になんて、絶対行きたくない!」
「その点は安心しろ」
くぐもった声で言い募る私に、ギュスターヴが何でもないことのように返します。
髪を撫で、こめかみに口付け、それこそ我が子を慈しむみたいに私をあやしながら彼は続けました。
「私がお前を手放すことは、未来永劫ありえない。天使にも、神にも、手を出させはせん」
「ほんとう、ですか……?」
「〝アヴィスのお父さん〟の称号に誓って」
「呼ばないですってば」
頑固だな、という魔王の声は笑っていました。