どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜
22話 魔王の寝首を掻く者
「ギュスターヴ、ごめんなさい……」
私はグスグスと洟を啜りながら、涙を拭ってくれるギュスターヴの手を握り締めました。
「ギュスターヴの精気……くどいって言ってごめんなさい」
「よしよし、どうした。いきなり殊勝だな」
「ジゼルのに比べれば、あなたのなんて生臭いミルクくらいなものでした」
「……なぜだろうな。素直に喜べない」
腑に落ちない顔をしながらも、彼が口直しに精気を吸わせてくれます。
やはりちょっとくどいとは思いましたが、さすがに口には出しませんでした。
しかし、彼の精気のおかげでしょうか。擦りむいた膝がたちどころに治りました。
それを見た私はふと、思ったのです。
「……精気は、吸うことしかできないのでしょうか」
例えば、私の精気をヒヨコに分け与えることができたとしたら、この膝の傷みたいに、彼のフードの下の顔も治ったりしないでしょうか。
試してみる価値はありそうです。
「ヒヨコ、ちょっと……ちょっと、いいですか?」
早速、ギュスターヴの腕の中からヒヨコに手招きをします。
好奇心は猫をも殺すといいますが……よくよく考えれば、私は猫ではありませんもの。
一人でそう完結した私は、素直に隣にしゃがみ込んだヒヨコに顔を寄せようとして……
「──アヴィス」