どいつもこいつも愚か者。私が一番愚か者! 〜第二の人生は魔王のスネをかじって面白おかしく生きることにしました〜

3話 魔王の誤算

 世界は、大きく分けて三つで構成されています。
 一つ目は、全知全能の神がおわす天界。
 よほどの悪逆を尽くさない限り、人も動物も死んだら魂だけになってそこに行くと言われています。
 二つ目は、地界。
 人が蔓延る現世ですね。特筆すべきことは何もありません。
 そうして三つ目となるのが、魔物が跋扈し、天界に受け入れられなかった魂が行き着く先と恐れられる最果ての地──魔界です。
 天界の長が神であるとすれば、魔界の長は魔王。

「魔王だか何だか知りませんが、気安く触らないでください」

 懲りずに顎の下をくすぐってくる銀色頭の──いえ、ギュスターヴの手を、私は再びぺいっと振り払いました。
 ザワザワと、周囲がいっそう騒がしくなります。

「何たる無礼者」
「命知らずめ」

 そんな囁きは、どうやら私に向けられたもののようです。
 ギュスターヴと金色頭が冗談を言っているのではないとすると、前者は魔王で、つまり私がいるこの場所は天界でも地界でもなく魔界だということになります。
 魔界を牛耳っているのは、天界とも地界とも相容れない存在──魔物。
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