この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
1章 はじまり
1 私と先輩の出会い
「だ、大丈夫ですかっ」
私は目の前で倒れている男性へと必死に声をかける。
しかし男性はぐったりとして、顔色も真っ青だった。
私、綾瀬 美桜、中学二年生。
この日、人生ではじめて、行き倒れている人に遭遇してしまいました。
*
男性が倒れていたのは、ちょうど私の家の前。
私よりも当然身体の大きい男性を、なんとか引きずりながら我が家のリビングのソファに寝かせた。
「ふう…」
って、一息ついている場合じゃなかった!
どこか具合が悪いのかな…。救急車を呼ぶべきだったかな…?
迷いながらもひとまずコップ一杯の水を用意して、暖かいタオルで男性の顔を拭ってあげた。
「あれ?この人…」
男性が倒れていることに驚いて気がつかなかったけれど、うちの中学校の制服を着ている。
ネクタイの色が緑色だから、私より先輩だ。ということは三年生?
顔色は悪いけれど、よくよく見ると、スッとした目元に、高い鼻、かなり整った顔立ちをしている。
おお、イケメン先輩…!
こんなかっこいい先輩がいたなんて知らなかった。さぞおモテになるのだろうなぁ。
そんなのんきなことを考えていると、目の前の先輩がぱちっと目を開けた。
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