この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
1章 はじまり

1 私と先輩の出会い



「だ、大丈夫ですかっ」


 私は目の前で倒れている男性へと必死に声をかける。


 しかし男性はぐったりとして、顔色も真っ青だった。



 
 私、綾瀬 美桜(あやせ みお)、中学二年生。 


 この日、人生ではじめて、行き倒れている人に遭遇(そうぐう)してしまいました。







 男性が倒れていたのは、ちょうど私の家の前。


 私よりも当然身体の大きい男性を、なんとか引きずりながら我が家のリビングのソファに寝かせた。


「ふう…」


 って、一息ついている場合じゃなかった!


 どこか具合が悪いのかな…。救急車を呼ぶべきだったかな…?


 迷いながらもひとまずコップ一杯の水を用意して、暖かいタオルで男性の顔を拭ってあげた。


「あれ?この人…」


 男性が倒れていることに驚いて気がつかなかったけれど、うちの中学校の制服を着ている。


 ネクタイの色が緑色だから、私より先輩だ。ということは三年生?


 顔色は悪いけれど、よくよく見ると、スッとした目元に、高い鼻、かなり整った顔立ちをしている。


 おお、イケメン先輩…!


 こんなかっこいい先輩がいたなんて知らなかった。さぞおモテになるのだろうなぁ。


 そんなのんきなことを考えていると、目の前の先輩がぱちっと目を開けた。

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