この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

 私もおにぎりを手に取って食べはじめる。


 すると視界の隅に、一葉くんの姿を見つけた。


「一葉くん!」


 私が声をかけると、一葉くんは軽く手を挙げて去ってしまった。


「ありゃ…一緒に食べるかと思ったんだけどな」


 一葉くんのご家族も来ているだろうし、もしよければ一緒に食べたかったんだけど。


 私が残念そうにしてると、お姉ちゃんが心配そうに言った。


「いっちゃん大丈夫かな?」


「大丈夫って?」


「いっちゃんのご両親、先週だか先々週くらいから海外出張だって聞いたけど」


「え!そうなの?!」


「いっちゃんから聞いてない?」


「なにも聞いてないよ」


「そっかぁ、あの子、人にあんまり頼ろうとしないからねえ。ちゃんとご飯食べてるのかな」


 お姉ちゃんの言葉に、私も心配になってくる。


「私、ちょっと行ってくるよ!」


 おにぎりを2個手に持って、私は一葉くんを追いかけた。

< 100 / 139 >

この作品をシェア

pagetop