この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
5章 私が私であること
1、悩める中学生
期末試験の時期がやってきた。
中学生になってから、もう何度か受けている定期試験だけれど、この時期は本当にゆううつだ。
「あーもう、二週間後は期末試験なんですねえぇ~…」
私は家庭科室でホットケーキを焼きながら嘆いた。
「もうそんな時期だっけ」
いおり先輩は私の焼いたホットケーキをきれいにナイフで切り分け、上品に口に運んでいる。
今日は家庭科部の活動日。
と言っても相変わらず部員は私ひとりで、いおり先輩が遊びに来ている感じ。
ふかふかしたものが食べたくて、今日はホットケーキを焼いているの。
ホットケーキミックスとたまごと牛乳があれば、簡単にこんなにおいしくできちゃうんだから、最高のおやつだ。6限目が終わって時間もちょうどおやつ時だしね。
ホットケーキに生クリームとチョコレートをかけて、少し豪華にしてみた。
ここにフルーツなんかがあったらもっと最高なんだけどなぁ。
今度はちゃんと用意しておこう!
自分の分のホットケーキも焼き終わって、私はいおり先輩の横に腰をおろす。
「いおり先輩は期末試験、嫌じゃないんですか?」
私の質問に不思議そうに首をかしげるいおり先輩。
「嫌って、なんで?」
「なんでって…。いい点取らなきゃとか、そのためにどのくらい勉強しなきゃとか、色々勉強のことばかり考えないといけないじゃないですか」
「そうなの?」
「そうなんです!…いおり先輩に訊いたのが間違いでした…」