この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
期末テスト前日。
晩ご飯を食べ終えた私は、いおり先輩に勉強を見てもらっていた。
英語の練習問題のページを丸つけしてくれたいおり先輩は、驚いたように言った。
「美桜、勉強得意なんじゃないか。テスト嫌がってたから、もっと大変なんだと思ったよ」
「え、できてました?あんまり自信はなかったんですけど…」
「これなら90点は取れるんじゃないかな?あとはいかに本番でいつものペースで解けるか、だね。周りがどんどん解いているのを見たり、シャーペンの音で集中できない人もいるからね」
いおり先輩の言葉に私はほっと胸を撫でおろした。
「あ、数学も一応見てもらってもいいですか?今回の範囲はそこまで難しくはないんですけど、応用問題にちょっとくせがあって…」
「もちろん」
いおり先輩が快く返事をしてくれる。
「先輩は勉強大丈夫なんですか?」と念のため確認したところ、「教えるのだって勉強になるんだよ?」というこれまた頭のいい人の定型文のような返事があった。
というわけで、遠慮せずこのテスト期間はいおり先輩に教えてもらうことにする。
向かいに座るいおり先輩をちらっと見ながら思う。
この先輩はだまっていればかっこいいし、勉強もできるし運動だってできる。
ほんと、だまっていれば、かっこいいんだよなぁ…。
私と目の合ったいおり先輩が、微笑みを浮かべながら首をかしげた。