この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
2、本当は、私は、
「期末テスト終わったー!!やっと勉強から解放されたー!!」
喜び勇んで帰宅したその夜。
私は高熱を出して倒れた。
それは帰宅して、晩ご飯の支度をするために立ち上がったときのことだった。
なんだか頭がぼーっとするとは思っていた。
でもそれはきっとテスト疲れだと思い、今日は早く寝ようと思っていた。
けれどどうやら身体はそこまでがんばれなくて、私は晩ご飯の支度をする前に倒れてしまったのだった。
「あれ…?」
ぼーっとする頭で天井をながめる。
私の部屋、私のベッド。
おでこには冷却シートが貼ってあって、頭の下には氷枕が敷かれていた。
「…お母さん……?」
私は部屋でかすかに動く人影に声をかける。
その人影は枕元にやってきて、心配そうに私を見下ろす。
「美桜、大丈夫?」
それはさきほどまで一緒にリビングでくつろいでいた、いおり先輩だった。
「いおり、先輩…?」
「美桜、ものすごい熱があるんだ。少し、がんばりすぎちゃったのかもしれないね」
そう言っていおり先輩は私の頭を優しくなでる。
ああ、なんだかなつかしい。
小さい頃、お母さんがいつもこうしてくれていたっけ。
「今日、お姉さん、部活で夜遅いって。お姉さんが帰ってくるまで、俺がいるからね」
私は小さくうなずいた。
しかしいおり先輩は立ち上がると、私の部屋を出ていこうとする。
その先輩の制服の裾を、出せる限りの力で引っ張る。