この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~
「なかなかお母さんのこと、お話できてなくてすみません。お母さんのこと考えると、やっぱりどうしてもさびしくなっちゃうから…。
お母さんは近くの病院に入院していて、いつも学校に行く前に顔を出してるんです」
「…そうだったんだね」
いおり先輩は私の頭を何度もなでる。
それが心地よくて、なんだか眠くなってきた。
「いおり先輩…私、本当は少しさびしかったんです…。お姉ちゃんは部活やアルバイトがあっていそがしいし、お父さんも仕事で夜が遅いから……」
お母さんが入院してから、私はずっとひとりですごしていた。
そんなときに、いおり先輩と出会ったんだ。
だから…だから、毎日いおり先輩がうちに来てくれるのがうれしかった。
私のご飯をおいしいと言って、いっしょにご飯を食べてくれることが、本当にうれしかったんだ。
「俺はずっとそばにいるよ。だから今は、おやすみ、美桜」
まぶたが重くなって、気がつくと私は意識を手放していた。