この度先輩のご飯係になりました~私と先輩の幸せレシピ~

「玄米と豚肉ときのこの炒めもの、それにかぼちゃを添えました!」


 二人は「おおー」と言って料理に目を落とす。


「玄米は、普通の白米と違って、ビタミンやミネラル、食物繊維が多いんだ。炊くときにしっかり研がないといけないのと、水にしっかり付けておくのがちょっと時間がかかるけど、あとは普通に炊くだけ。

豚肉ときのこの炒めものは、これも豚肉としめじをフライパンに入れて炒めるだけ。味つけは塩こしょうだけでもいいし、焼き肉のたれなんか使っちゃってもいいかもね。

で、最後はかぼちゃ。食べやすい大きさに切ったら、お鍋に少量の水を入れて蒸すだけ」


 湯気の立ち上る料理から、良い香りが漂ってくる。


「いただきますっ!」


「いただきます…」


 愛奈ちゃんと祐一くんは、それぞれ料理に箸をつける。


「んー!!おいしいですっ!」


 愛奈ちゃんは満面の笑みを浮かべてご飯を頬張っている。


 しかし祐一くんは……。


「たしかに、とってもおいしいです。でも、僕は愛奈に野菜を食べてほしいんです。これじゃ結局、栄養が取れないんじゃ…」


「大丈夫っ!」


「え?」


 祐一くんの心配をよそに、私は解説する。


「この料理は、愛奈ちゃんが嫌いな野菜の栄養を少しでもおぎなえるようになってるんだ」


「え、そうなんですか?」


「愛奈ちゃんはにんじん、ピーマン、たまねぎが嫌いだって言ってたよね?」


「ふぁい、嫌いれす」


 口いっぱいにご飯をつめこんだ愛奈ちゃんがそう答える。

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